強い心は努力の賜物

私は大相撲から人生を学んでいるが、初場所から学んだのは大相撲で大切な「心・技・体」のうち「心」だった。心が強くなければ勝てない。強い心を支えるのは日ごろの稽古だ。

大関・正代の6勝9敗は、解説の北の富士さんがいつも言う通り稽古不足なのだ。11日目の正面解説の間垣親方(元横綱・白鵬)が向正面の解説の井筒親方(元関脇・豊ノ島、時津風部屋の親方)に「正代に稽古つけに時津風部屋に行きましょうか」と言ったのは、コロナ禍でなければ本気なのだろう。時津風部屋といえば、相撲の神様といわれる大横綱・双葉山が昭和16年に作った双葉山道場が始まりだ。双葉山の強さが正代に乗り移らないかなあ。

照ノ富士も、阿炎も、強い心を持ち変身を遂げた。何かが憑依したわけではなく、本人の努力だけれど・・・。

今場所印象に残ったのが、7勝8敗と負け越したが前頭3枚目・遠藤である。遠藤は12日目に前頭筆頭・霧馬山の体がころりと裏返る見事な上手投げを見せた。14日目の前頭2枚目・逸ノ城との対戦では、向正面の立田川親方(元小結・豊真将)が「相撲の流れがいい」と遠藤を絶賛。千秋楽の前頭13枚目・豊山戦では、正面解説の北の富士さんが「うまいし、面白いし、役者ですね」と称えた。本来相撲は「押さば押せ、引かば押せ」といわれるように「押し・突き」が基本だ。幕内で押し相撲の力士が多い中、美しい四つ相撲の技能をもつ力士は貴重だ。「遠藤相撲保存会」ができても不思議ではない。

押し相撲で「推したい力士の王鵬」(最近応援するのを「推し」という)は、千秋楽で前頭11枚目・佐田の海に負け5連敗となり負け越した。昭和の大横綱・大鵬の孫としての期待もあったが、本人の「体力不足」のコメントが伝えられた。前頭18枚目の幕尻なので、新入幕だったが来場所は十両に戻るのか。残念だ。
同じく新入幕の前頭15枚目・若元春は、弟の前頭筆頭・若隆景とともに9勝6敗で勝ち越した。幸せだなあ。

祖父や父親が力士、そして兄弟で相撲界入りする力士がいる。相撲を取るということに魅力がなければ、祖父や父親に続いて入門することはない。そして相撲が面白くなければ、相撲の歴史は既に絶えているはずで、私が相撲箱をひっくり返して資料を調べることもない。

来場所の照ノ富士はどうなるのか? 御嶽海が大関になり注目を集めるなか、カド番の正代と貴景勝は先輩の意地を見せられるのか? 3月場所への思いで、既に血圧が上がっている。

かなり前に購入した軍配の形のセトモノの箸置き。朝青龍、貴乃花、武蔵丸、栃東、千代大海の四股名がある(箸は別)。多治見市の㈱若尾商店の商品(写真提供◎しろぼしさん)

※「しろぼしマーサ」誕生のきっかけとなった読者体験手記「初代若乃花に魅せられ相撲ファン歴60年。来世こそ男に生まれ変わって大横綱になりたい」はこちら

 

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