「せりだ、せりだ、今年は安いですね」

父はデコポンが好きだった。子どもの頃、柑橘類は全部美味しいでしょうと思ったが、大人になって特にデコポンを選ぶようになった。味は勿論のこと、皮が剥きやすい、内皮がそのまま食べられる、ジューシー過ぎず汁が垂れず手も机もべたべたにならない。

本連載をもとに青木さんが書いた初の小説『母』(中央公論新社刊)

せりも好きだ。スーパーにあると「せりだ、せりだ、今年は安いですね」と何束も買う。東北に仕事で行った時は朝から地元の友人に頼み込み、早朝から閖上漁港の朝市に連れて行ってもらった。ここのせり鍋は具沢山で、けんちん汁の上に新鮮でそれはそれは立派な、せりが山盛りにのっている。

閖上漁港の、けんちん汁のような具沢山せり鍋

東北の寒さは芯にくる。
海をみながらせり鍋の湯気をふーふーしながらいただくのは格別。

帰りには新聞でくるんだせりをせっせと抱えて東京まで持ち帰る。

仕事で訪れた閖上漁港


外食も好きだ。
娘とよく行くのは、くら寿司さんだ。しゃりハーフという、酢飯少なめのお寿司をいただく。娘はサーモンサーモンえんがわサーモン締めサーモン。