ユキさん自慢の自宅ベランダで。中央が夫の高雄さん。左が娘の真貴さん(写真提供◎鳥居さん)

夫を亡くしたけれど、実感はまだ

もう一つ、私を元気にしてくれる趣味と言えばガーデニング。20代の頃から園芸が大好きで、今は朝顔のツルを這わせて緑のカーテンを作り、その下で食事ができるような日陰を作ろうと、あれこれ工夫をしているところです。

ウインターコスモスもきれいに咲いたので、周りにムスカリを増やしたらもっと素敵に見えるかしら、なんて考えてみたり。無心になって花や植物と過ごしている時間が本当に楽しいんです。

実は、夫が3ヵ月前に病で亡くなりました。最後の半年は、入院したり自宅に戻ったりを繰り返していましたが、私は彼がどこにいようとも、そばにいて夜通し看病を続けていたんです。だって、これまでは彼がずっと私を支えてくれたから。

本当に優しい夫で、よきパートナー、よき理解者でした。ファッションの仕事は華やかな部分だけではありません。つらく苦しいときも、自分のことのように寄り添ってくれましたし、私と同じようにお客さまのことを考えてくれていました。

そんな彼を見送って「寂しいでしょう」と、みなさんに言われますが、今はまだ実感がないんです。そばに、彼の気配を感じているので……。

春の花が咲く頃になったら、あらためて寂しいと感じるのかもしれません。それでも、私には次のショーが待っています。79歳になった現在も「やりきった」という思いは皆無。今の時代を生きるアクティブな女性たちにふさわしいファッションを、これからも提案していきたい。

この先も、毎回泣いたり笑ったりしながら新しいコレクションを生み出していくことが、生きている限り、私の生きがいになっているのです。