あっという間にグレイになるなら

40代になり、素敵なグレイヘアにしている方をみると、もしあっという間にグレイになれるなら、そうするのだけどなあと思ったり、このまま頑張って白髪を伸ばしてみたらグレイヘアになるのか? と思ってみたりした。

本連載をもとに青木さんが書いた初の小説『母』(中央公論新社刊)

しかし、時折出会う素敵と思う男性の前では染めるのを怠っているようにみえる白髪はない方がいいわ、と思うし、シワまでうつす性能が良いテレビカメラの前ではやっぱり白髪はない方がいいかな、と弱気になったりするのだ。

最近久しぶりに会った、同世代の子どもをもつ同世代の友人は、白髪を伸ばしていた。

ショートヘアで耳の後ろ側や前髪が白髪まじりであった。

中華を食べながら友人は言った。

「白髪にしてんの」
「うん、そうだね」