このチケット代で本当にいいの!?
訪れたのは神奈川県の川崎、味わい深い佇まいの大島劇場さん。1950年創業という歴史ある老舗劇場とのこと。
木戸銭(きどせん)1600円(当時)を払い、一歩、劇場に踏み込むと、ほどよく小さな畳の客席はすでに満員。座布団と座椅子が整然と並び、思い思いに観客がくつろいでいる。客席と舞台が近い!
畳敷きの客席の真ん中には板張りの花道があり、壁には芝居の演目(または外題《げだい》)や舞踊ショーの題名が書かれた紙(貼出《はりだし》)がずらりとはためいている。
天井からは所狭しと役者の艶姿(あですがた)がプリントされた大きなタペストリーが飾られ、まるで、ここだけが別世界。ガラス張りの商品棚にはおつまみが売られ、なかには持参したお弁当を広げて談笑しているグループも。
まったり、ほのぼのとした空気に、初の大衆演劇観劇でお作法的に失礼があっては……といった気負いはどこへやら、缶ビールで乾杯、買って来たお惣菜を広げて開演を待ちました。
この日、観劇したのは橘小竜丸劇団 鈴組(たちばなこりゅうまるげきだん すずぐみ)さん。文字通り、目の前の近さで繰り広げられたのは煌びやかな衣装で舞い踊るショーとお涙頂戴な人情劇、からの華麗な舞踊ショー(三部構成が多く、その理由は後ほど)。
しかして、びっくりしたことだらけ。このチケット代で本当にいいの!?