大衆演劇はその名の通り「大衆のための娯楽なのだ」と
舞踊のラストショーでは口上挨拶が。
つい今程まで妖艶に舞っていた座長が衣装のまま登場、ちょこんときれいに正座し舞台上からご挨拶。
「この度は数ある娯楽のなかから、当劇団に足をお運びいただき、誠にありがとうございます」と深くお辞儀、ぱっと顔を上げ満面の笑顔……可愛い。というかギャップがすごい……お芝居で超凛々しい立役(たちやく。男役のこと)でばっさばっさと敵役を斬っていたかと思えば一転、なんだ、これ。
しかして誰あろう、この方こそ、橘小竜丸劇団 鈴組、橘鈴丸座長であり、この沼にずぶずぶとハマった原因です。
ちなみに構成がミニショー、お芝居、ラストショー、の三部構成が多いのは、ちょっと遅れても大丈夫、という配慮から。真ん中のお芝居がときに哀しい人情劇でちょっぴりしんみりしたとしても、最後の舞踊ショーで盛り上がり「あー、楽しかった!」と帰っていただくため、辿り着いた形だとか。
さらに出入り自由で、ゆるい……というか、親切。これは劇場のみならず、健康ランドや娯楽センター大広間での公演で、お湯につかってちょっと一杯吞みながら、楽しいひとときを過ごすための心遣い(なので、劇団さんも劇場とセンターでは公演内容や構成を変え工夫されています)。
うん。大衆演劇はその名の通り、大衆のための娯楽なのだ、と感じ入る。
こうして振り返り書いていますが、初観劇当時は情報過多で大変でした……何度でも繰り返しますが、お芝居はもちろん、剣戟や舞踊ショーでは着物やドレス、鬘も変えて着替えに着替えて、さらに着替えて、コミカルな曲にしっとりとした曲、全員での群舞と盛りだくさんな内容で、木戸銭が安く、とにかく距離が近い!
途中から完全に処理能力が追いついてないまま、初観劇を終了。さらに夜はまたちがう!?
演目と舞踊ショーだというではありませんか……とんでもないな! もちろん、夜公演も即座に買い求め、丸一日、堪能したこともここにお伝えいたします。