相続の期限は決まっていない
特に覚えておいていただきたいのは、相続税はお亡くなりになったことを知った日から10ヵ月以内に手続きを行うことが法律で決められていますが、相続の法律問題は相続税のように期限は決まっているわけではありません。
弊社団でも、40年前にお亡くなりになられた方の遺産を巡って、20人に及ぶ相続人との調整を進めている案件があります。
身寄りがいないと思い込み、何の事前対策も立てないと、後に残された親族に迷惑をかけてしまいます。それだけは避けたいものです。
人の命は、いつどうなるかわかりません。
特におひとりさまの場合、事故や病気で急に亡くなる場合を想定すると、何かしらの対策は立てておきたいもの。また、今は資産があっても将来の介護施設に入所の時に、資産がなくなっているケースもあります。
今、終活が盛んですが、できれば、家系図や自身の保有している資産の一覧、お墓のことや、資産をどうしたいのか、誰に看取ってもらいたいのかを、書き残しておくといいでしょう。
一覧表をつくって、毎年整理しておくのもいいと思います。
とくに、家系図は、天涯孤独かどうかを見極めるためにも、面倒と思わずに確認し、作成しておきたいもの。
こうした書き置きやメモ、エンディングノートなどは、おひとりさまが入院した場合、病院関係者にしまっている場所を伝えることもあります。しかし一般的には、お亡くなりになった後、親族や行政が自宅を片付ける際にメモや表を見付けるようです。せっかく書いたものは、近くの人に存在を伝えておくといいでしょう。
資産がないおひとりさまでも、自分の希望を伝えたり、選択したりできる方法は色々とあります。人の数だけ最期があります。自分で判断せず、一度は専門家や行政に相談してみてください。