(写真提供◎photo AC)
災害や事故、介護や相続など、人生には不測のトラブルや、避けられない困難が訪れます。とはいえ、気軽に聞ける弁護士や税理士が身近にいるとは限りません。専門的な知識を得ることで、冷静な判断で被害を減らしたり、計画的に備えたりすることができます。ジャーナリストとして長年さまざまな現場を取材しているファイナンシャルプランナーの鬼塚眞子さんに、暮らしに役立つ豆知識を聞きました。第11回は「介護破産について」です。

前回 「在宅介護か、施設に入るか、デイサービスを使っての混合型か。施設見極めのポイントは? 元気なうちに家族で情報収集を」はこちら

目次
介護破産とは?
介護施設の利用料が滞納したら?
滞納した場合の受け入れ先を見つける時の注意点
自費で賄う場合の費用は?
介護破産が起こる原因は4つ
 【1】施設利用料の見積もりに問題があるケース
 【2】施設に移っても、入居者の生活費は必要
    ◆「施設利用料」以外の費用とは?
 【3】介護期間の読み違い
 【4】不動産売却のあてがはずれる
介護問題は、お金だけではない

介護破産とは?

介護破産とは、介護を受けている本人、もしくは費用をサポートしている親族の資産がショートしてしまう状態に陥ることを言います。なぜ介護破産が起こるのか、どうすれば防げるのか一緒に考えていきましょう。

介護の方法は自宅介護と施設介護に大別されます。前者は公的な介護サービスを一切受けずに家族だけで自宅で世話をする介護です。後者は、市区町村に介護認定の申請を行い、認定されれば介護保険サービスが受けられる方法です。サービスといっても、利用度に応じて費用を支払います。デイサービスと呼ばれる通所施設や、有料介護施設などに入居するケースが多いです。

施設の利用料は、地域や公営か、民営か、民営でもセレブ向きかそうでないかといったグレード、さらに居室面積や設備、介護の進行状態によっても大きく異なります。

筆者が調べた限りでは、最安値価格は、ある地方のグループホーム(主に認知症患者を対象とした少人数の入居施設)で月額利用料3万8000円です。地価が非常に安い地域にある少人数向けのこじんまりした建物で、一般的な有料介護施設と比較すると床面積が小さい分、建築費が安く済むことから設定された利用料だと思います。

ただし、入居者だった方に聞くと、食事の献立は野菜の煮物がメインのおかずで、肉や魚もほとんど出ず、非常に質素だったと言います。

これは両極端としても、平均的な有料介護施設に入居した場合、月額利用料の平均額は、地方では12万円~、首都圏では15万円~が目安になると思います。