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災害や事故、介護や相続など、人生には不測のトラブルや、避けられない困難が訪れます。とはいえ、気軽に聞ける弁護士や税理士が身近にいるとは限りません。専門的な知識を得ることで、冷静な判断で被害を減らしたり、計画的に備えたりすることができます。ジャーナリストとして長年さまざまな現場を取材しているファイナンシャルプランナーの鬼塚眞子さんに、暮らしに役立つ豆知識を聞きました。第10回は「介護と介護施設について」です。

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在宅介護と訪問介護

介護と言えば認知症と思っている方もいますが、介護=認知症ではありません。病気や事故などで、トイレ、風呂、歩行、衣類の着脱、買い物、食事などに支障をきたし、人の助けを必要とする状態をいいます。

自宅で暮らしながら、親族が同居もしくは通いで世話を受けるのが「在宅介護」です。

在宅介護でお看取りをしてもらう人もいらっしゃいますが、この場合、定期訪問してくれる医師を確保できるかどうかが鍵になります。

在宅介護から施設に入所させたきっかけとして、認知症が進行したことを理由に挙げる親族は多いです。たとえば、被介護者が排泄物を壁や床にこすりつけたり、徘徊を始めたりして夜中に何度も起されるなど、介護する側の健康状態や精神面を害し始めた結果、施設に入居させることになるのです。

一方で、親族で世話をする在宅介護のメリットは、なんと言っても介護費用がかからないことです。

介護離職をして親の在宅介護をたったひとりでしている方の中には、介護うつになる人もいます。友人などがランチに誘ってくれても、親のことが気になって断っているうちに誘われなくなるため、ますます孤独になっていきます。地域包括センターや保険会社の付帯サービスの窓口に相談するなど、一人で抱え込まないことが大切です。