【3】介護期間の読み違い

第三の理由は、介護期間の読みの違いにあります。

人の命は神のみぞ知るですから、介護期間がどれだけになるのかは誰にも正確なことは分りません。実際、筆者の親族でも、認知症と診断された本人より、兄を心配し、時折、様子を見に来ていた7歳年下の弟が先に亡くなってしまった例があります。しかも認知症患者は医師から余命3年を宣告されていましたが、診断から7年が経過した現在でも存命です。

ある施設では入居者300人の平均入居年数を調査したところ、7年という結果が出ました。筆者の調査では、介護施設に10年~20年以上入居されている方、100歳を超えていらっしゃる方も少なくありませんでした。

筆者が代表を務める(社)介護相続コンシェルジュにも介護期間の相談は多くあります。弊社団では、「介護期間は10年あると思いましょう」もしくは「100歳になっても資金が確保できるか」というアドバイスをさせていただいています。介護期間を読み間違えて、資金がショートするようなことがあれば、本人だけではなく、ご親族にも迷惑が及ぶからです。

 

【4】不動産売却のあてがはずれる

「自宅を処分したお金で介護施設の入居費の一時金か、費用にあてる」と考えていらっしゃる方は実に多いものです。しかし、不動産は地域によっては、売りに出してもなかなか売れずに、介護費用に補填できないケースもあります。

高度成長期の住宅ブームの頃に家を建てた方は今では後期高齢者になっています。そうなると介護施設に入居したり、子どもの近くに引っ越すケースも多くなります。

都内で人気のある地域で、こんなことがありました、周囲一帯が高齢者の住居区では、同時期に家の売却ラッシュになったのです。そうなると、いくら人気の地域といっても買い手市場です。2年経っても売れない家が多数出てきたのです。

自宅が2~3年売れなくてもそれまで費用を支払えるだけの財力があればいいのですが、そうでない場合は、ランクを落とした施設探しをすることになります。売るにしてもタイミングを見誤れば、介護資金計画が大幅に狂ってしまうこともあります。