CさんとDさんにどんな歴史があったのかはわかりませんが、ボランティア団体から話を聞かされたDさんは、面会も支払いも頑なに拒絶。
「団体の方に感謝はしていますが、兄のことで二度と連絡をしてこないでください。とっくに縁が切れた人です。葬式も火葬もお任せします」と突き放すように言ったそうです。
結局、行政関係者も立ち会って、ボランティア団体とささやかな葬式を執り行い、Cさんは無縁墓地に埋葬されました。
ところで、ボランティア団体が支払った30万円は相続的にはどうなるのでしょう。
金銭借用書がなくても「貸すけれど返してほしい」 と明確な意思表示をした上で貸した場合は、 法律上の契約が成立します。仮にボランティア団体とCさんに契約が成立していたとすれば、Cさんの相続人である子どもに請求ができます。相続は債務も相続するので、放棄をしたいときは裁判所に「相続放棄の申述書」を提出し、裁判所の判断を仰ぎます。
しかし、ボランティア団体は、Cさんにお金を返してとの意志を伝えていなかったこともあり、結局、「勉強代」と思って代金の請求はしませんでした。ボランティア団体は、Cさんの命日には墓地に花を供え、冥福を祈っているそうです。
このように親族がいても引き取りを拒否する例は珍しくありません。
最近では、身元を保証代行する民間の会社も出てきましたが、資産がないおひとりさまの場合は、行政の福祉関連に相談することになるかと思います。
相談を受けた地方行政が葬儀一切を執り行い、行政が保有する共同墓地に埋葬されるようですが、地方行政によっても若干違うので、気になる方は事前に確認してください。