おひとりさまの場合、資産があるか、ないかで最期を看取ってくれる人が違ってきます。お金がある人は、たとえ天涯孤独だとしても、世話をしてくれる人を雇ったり、友人・知人に協力を仰いだりできるケースが多いものです。一方で、資産も残さず、身寄りがない、あるいは親族が拒否した場合はどうなるのでしょう。
天涯孤独を周囲に主張されていた、〈おひとりさま〉のCさんの案件があります。
Cさんは家庭を持っていたのですが、経営していた会社も傾いたことから、離婚届けを残して、愛人と失踪、その後、妻は離婚届けを提出しました。妹のDさんはCさんと30年以上音信不通だったのですが、ある日、地方の病院からCさんの危篤の連絡があったのです。Cさんの子どもに連絡したものの、子どもは「今さら会う必要もないし、何の関係もない」とすべてを拒否されたとのことでした。病院側は、Cさんの世話を2年前からしていたボランティア団体にも連絡を取ってほしいとのことでした。
自分の余命があと2年と聞かされていたCさんは、生活保護を受けていたこともあって、行政に話し相手がほしいとの相談をしたところ、あるボランティア団体を紹介されたそうです。以来、2年間もの間、その団体はCさんの世話をするほか、生活保護費の中から入院費を支払えば、ほとんど残るお金もないCさんに代わって衣類などを購入、その金額は30万円にも及びました。
Cさんが亡くなる直前、ボランティア団体に実は以前結婚して子どもがいたこと、妹がいることを打ち明け、最期に妹のDに連絡をしてほしいと頼んだそうです。それを聞かされたボランティア団体は騙された思いにかられたと言います。