戦後家族体制の変化のとき

コロナ禍のもとで、ポジティブな変化も起きました。

たとえば、通勤って、なぜやらなきゃならなかったのかといえば、職住分離があるからです。職住が分離しているからこそ、そのふたつをつなぐための通勤が必要だったわけで、職住が一致すれば、通勤なんかしなくてすむようになります。

コロナ禍が永遠に続くわけではないでしょうが、コロナ禍が収束したあとにも、コロナ禍以前に戻ってほしいことと、戻ってほしくないことがあります。戻ってほしくないことのなかに、通勤地獄があります。

職住が一致すれば、通勤しなくてすむように(写真提供:写真AC)

在宅勤務をするひとたちが増えてきて、家庭にいる夫婦の関係にも再調整が起きました。これまでは、対価を伴うモノの生産は男が独占し、人間の生命を産み育て、そして看取るというイノチの再生産という不払い労働が、女に配当されました。

その意味で、夫が100%の生産者、妻が100%の再生産者でした。これを、サラリーマン・専業主婦体制と呼ぶことは『最後の講義 完全版 これからの時代を生きるあなたへ』の中でお話ししました。

日本では戦後、これが定着したので、家族の戦後体制ともいいます。日本ではこういう家族の歴史は半世紀もありません。

今日再び、それが変化の時期を迎えているといえるかもしれません。ポスト近代という時代を迎え、男も女も共にいくばくかの生産者であり、いくばくかの再生産者であるという、そういう時代に入りつつあるのでしょう。