「アメリカ的な民主主義が入ってきて良かった部分もあるけれど、西洋文化の押しつけ的な、イスラム文化とは混じり合いにくいところも当然あるわけです。」

タリバン政権、現地と世界で異なる評価も

21年の12月、ようやく情勢が落ち着いてきたので、3ヵ月ぶりにアフガニスタンの家に一時帰宅しました。カブールでは戦闘がなかったので街の状態はそのままなんですが、人も車もすっかり少なくなって活気はありません。あの騒動で20万人以上が国を脱出してしまったわけですから。

日本や欧米では人権問題などに焦点を当てて、タリバン政権に対して否定的な視点の報道が多いですよね。ただ現地ではちょっと温度差もあるんですよ。

たとえば彼らは、誘拐殺人犯などの重罪人は処刑してからクレーンで吊るして、市内を引き回したりする。日本人の感覚では、なんでこんなひどいことをするのかと思いますよね。でも一般の国民感情としては、「よくやってくれた」と喝采を送る場面も少なくないのです。

というのも、イスラム圏で起きる犯罪は本当に残虐なものが多いんですね。ところが民主主義が入ってきて、公開処刑みたいなものは人権に反するとして廃止された。じゃあ犯人が捕まって、本当にきちんと法の裁きや、罪に見合っただけの刑を受けているのかというと、そこがよくわからない状態だったんですよ。

だから被害者の家族はすごくフラストレーションを溜めていた。アメリカ的な民主主義が入ってきて良かった部分もあるけれど、西洋文化の押しつけ的な、イスラム文化とは混じり合いにくいところも当然あるわけです。

アメリカに対する一般国民の感情は、外国の人たちが考えているほど悪くはないと思います。何より彼らはお金を落としてくれますから。ただし、家族や愛する人を米軍に殺された経験のある人は別で、タリバン兵の中にはそういう背景を持っている人も少なくありません。