安井さんのライフワークでもある、遊牧民を撮影した一枚

アフガニスタンの明るい未来へ向けて

タリバンに関しては、女性への抑圧、特に女性から教育や仕事を奪うのかという海外からの批判も多く聞かれます。ただ、そのへんはタリバンも広報が下手というか、説明不足の部分があると思うんですよ。

私は20年前のタリバンも知っているし、今のタリバン幹部にも取材をしています。その感触で言うなら、彼らもだいぶ変わってはきている。

イスラム教の聖典であるコーランには「女性が働いてはいけない」とは書いていません。微妙な解釈の問題なんです。今のタリバンも「女性は働いてはいけない、学んではいけない」とは考えていない。ただ、一気に欧米のように何でもありということにはできないわけです。もう少し情勢が落ち着けば、女性の仕事環境もある程度元に戻っていくでしょう。

公開処刑のようなことに関しても、タリバンの中で一枚岩に意見が固まってるわけではないのです。彼らとしても国際社会の同意や支援がないとやっていけないから、あまり外国が嫌がるようなものは見せたくない。かといってその方向性を抑えすぎると、今度は内部で揉めてしまう。だから黙っているんです。

でもアフガニスタンというのは、平和になったらすごくいい国ですよ。旅行するのにもとても楽しいところだと思う。

自然は素晴らしいし、果物はおいしいし、人々は親切でおおらかで、フォトジェニックだし。特に、外から来た人を温かく迎えようという気持ちがとても強い人たちなんですよ。たとえば自分は難民キャンプにいるのに、お客さんには配給分のお茶や食べ物を出してもてなそうとする。そういう損得勘定のないところが私はすごく好きで。

この国はずっと、外からは大国に侵略され、翻弄され、内部では多民族国家ゆえにそれを利用され、紛争も絶えなかった。だけど今回のことを機に、今こそ民族間の違いを越えて話し合い、自分たちの力で国を立て直すきっかけにしてほしいと思います。私もこの後すぐにまたアフガニスタンに戻る予定ですが、この国がどう変わっていくか、これからも内側から見つめ続けていきたいです。