2003年に結婚したアフガニスタン人の夫と愛猫

家族バラバラでようやく脱出。「絶対すぐに戻ってくるぞ」

アフガニスタンは大家族が多いのですが、国外退避を手配してくれる企業や組織も、家族全員の面倒まではみてくれません。だから一家離散がすごくたくさん生じた。

混乱する空港で母親が人波に押しつぶされ圧死し、3人の幼い子どもたちだけがなぜか脱出に成功して、アメリカの伯母のところにたどり着いたというケースもありました。

私は陥落後も取材を続けていたんですが、数日後に日本大使館から「自衛隊機が来る」と連絡が。会社からも「一度出国して仕切り直しを」と言われて退避を決意したんです。でも夫はアフガン人なので簡単には国外に出られません。「仕方ないので先に行くけれど、あとで落ち合おう」と。

夫はタリバンとあまり関係の良くない地域の出身なので少々心配はありました。でも彼が昔働いていた米企業の支援もあり、その後無事に出国。今はカタールのドーハにいます。

私自身は、本心を言うと出たくなかった。最後の最後までこの国を出るのが名残惜しくて、飛行機に乗っても「絶対すぐに戻ってくるぞ」と心の中で叫んでいました。