高齢おひとりさまの資産の終活
私が理事長を務める(社)介護相続コンシェルジュの相談業務に限っていえば、不動産を除く数千万円以上の金融資産を保有する後期高齢者のおひとりさまは多くいらっしゃいました。その方たちは、話しを聞くと現役時代の年収が高いわけでもなく、自宅も生活も極めて質素な方ばかりなので、数千万円から1億円近い資産を保有しているなど、思いもしません。
おひとりさまとして頑張って生活されてきた方の多くは、「人に迷惑をかけたくない」との意識が高い。しかしながら実際は、死後の手続きも大変ですが、病気になったり介護状態になったりすると、迷惑をかけたくないと思っていても、まったく人の世話にならないことは難しいのです。また、何の対策も立てなくても親族は揉めないと思い込んでいるおひとりさまの資産家もいらっしゃいます。
未婚、子どもも兄弟姉妹もいない、親も亡くなった、などで、天涯孤独と勘違いされているおひとりさまがいらっしゃいます。その場合、叔父叔母(伯父・伯母)が相続す立場となるケースもありますが、叔父叔母が亡くなっている場合、その子ども、つまりいとこがいるなら、天涯孤独ではなく、その方たちが「代襲相続人」になります。代襲相続人とは民法で決められている本来の相続人に代わって相続人になる人のことです。
相続人がいない人の財産はどこへ?
おひとりさまの中には、遺産もそれほど残らないだろうから、残りは国庫帰属にしたい(国庫の財産になること)という方もいます。しかし、相続人がいないことが国庫帰属の前提になります。自分で相続人がいないと主張すれば認められるのではなく、裁判所が相続人捜索の公示を行ないます。
つまり、仲が悪いとか良いとか、最近会っていないとかは関係なく、法定相続人が存在する限り、おひとりさまの資産は、亡くなれば法律上は法定相続人の権利となるのです。