法定相続人がいるおひとりさまの場合は、国庫帰属を希望してもなかなか希望通りにいかないことを理解していただくには、時間はかかります。もし親族におひとりさまがいて、コミュニケーションが取れるなら、健康を切り口に聞き出されたらいかがでしょうか?

「介護になったらどうするの?」「亡くなったら相続はどうする?」というようなダイレクトな質問ができる間柄ならいいですが、そうでない場合は、反感を買ったり、「心配しないでも大丈夫」と答えがかえってくるのが関の山です。

そんな時は「どんな健康法をしているの?」「病気になったら、どんなことが心配?」などを話の切り口に、これまで頑張ってこられたことを十分にねぎらって、気持ちをほぐしてあげることから始めるといいかと思います。

 

遺留分とは何か

さて、おひとりさまの資産の終活で覚えておきたいのが、相続の遺留分です。

遺留分とは、一定の範囲内の法定相続人(配偶者、子、孫などの直系卑属、親、祖父母など直系尊属)に法律で最低限保障されている相続分の割合です。たとえば、妻や子がいる人が「Aさんに全財産を相続させる」という遺言を残しても、配偶者や子どもには遺留分があります。

もし自身が「縁を切られた直系の孫」で、財産を相続させない、と言われた場合、つまり遺留分を侵害された場合、どうすればいいでしょう?
実は遺留分を侵害された内容であっても、遺言は無効にはならないのです。ただし、侵害された相続人は遺留分減殺請求により、自分の遺留分に該当する相続財産を取り戻すことができます。当事者間の話し合いで解決出来ない場合は、遺留分権利者は家庭裁判所の調停手続を利用することになります。

ただし、調停の申立てとは別に内容証明郵便等により意思表示を行って、意思表示をしたことになります。なお、意思表示には時効があり、相続開始及び減殺すべき贈与又は遺贈のあったことを知ったときから1年又は相続開始のときから10年を経過するまでとなっています。

一方、兄弟姉妹や相続放棄した人などには遺留分が認められていません。兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子どもたちが相続人になりますが、「遺留分」はありません。
遺言書がない場合、兄弟姉妹間の仲がよくなければ揉める原因になります。