渡辺謙さんの存在感や、真田広之さんの凜とした佇まい
また、勝元の妹の「たか」には「古風で美しい人。かわいいだけではだめで、シンプルでドライな人。それでいて繊細」と、言葉にするとかえってわかりにくいのですが、私のなかには独自の「輪郭」があり、それにぴったりはまったのが小雪さんでした。
もちろん、私の推薦で決まるのではなく、役者には全員オーディションを受けてもらいましたので、総勢400人くらいの役者さんに会っています。
それでもすぐに決まる場合と、なかなか見つからない場合があります。でも、映画が出来上がって、渡辺謙さんのズバ抜けた存在感や、真田広之さんの凜とした佇まいを見ると、やはり私の見立ては間違っていなかったなと自画自賛したくなりました。
勝元を演じた渡辺謙さんは、ゴールデングローブ賞助演男優賞とアカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。
日本が舞台なので、姫路や京都でロケをしました。姫路の撮影場所は「西の比叡山」と称される書寫山圓教寺。姫路城の北西に位置し、標高371mの山上にあるお寺です。長い石段を上がっていくと国の重要文化財に指定されている、素晴らしいお寺がいくつも見えてきます。
映画の中でトム・クルーズと渡辺謙さんが挨拶するシーンに出てくる、太い柱のある建物も寺の一部。姫路でも京都でも、歳月を感じさせる重厚な建物をバックに撮影され、セットでは出せないリアル感に満ちています。
実はこの映画では、ニュージーランドでも役者を選びました。というのは、日本での撮影は経費がかかるので、アメリカやニュージーランドでも撮影をしているのです。たくさんの役者を国から国に移動させるのはお金がかかりますから、現地の役者を使うという懐事情からでした。