私はこの家で『孤独死』するんじゃないかと

「私の手が要らなくなったら、口もきかなくなって、私のことを無視するようになったんです。息子夫婦は、夫の命日やお盆にも線香一つ上げに来たことがないし、正月もバラバラで顔を合わせもしません。私は孫がどこの大学に入ったのかも知らされていないんですよ」

あるとき、フラワーアレンジメント教師の資格を持つ吉住さんが玄関に花を生けた。そこで投げつけられた言葉がすごい。

「嫁は何が気に食わなかったのか、『私の家には玄関に花を飾る習慣はありません!』と言って、花器ごと持ってきて、私の目の前にダンと置きました。『私の家』とはどういう了見かと思ったし、とにかく意地が悪いんです」

いっぽう息子は家庭内で影が薄いうえ、母親への気遣いを見せるそぶりもない。「風呂場で倒れても助けられるように」と自分から言ったくせに、実際に吉住さんが体調を崩したときは無関心。2週間入院した際も、一度も見舞いに訪れなかった。

「今じゃ、私はこの家で『孤独死』するんじゃないかと思ってます」

家は息子がローンを組んで、吉住さんが夫の遺したお金を一部援助した。

「土地はすべて私名義なので、無視するなら、知らないうちに土地を売っぱらってやろうかなと。もしくは娘に全部相続させるよう遺言書を作ろうかと考えています。親をぞんざいに扱った《仕返し》を思案中なんです」