子育てが一段落すると手のひらを返され、息子の妻の本性を目の当たりに……(写真提供:photo AC)
2019年7月に行なわれた国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、親が生存している20歳以上の成人18672人のうち、親と同居している人は「35.2%」とのこと。平均寿命の伸びとともに、親と子がかかわる期間も伸びることが予想されます。しかし同居の場合、それぞれの生活様式や価値観の違いから軋轢が生じることも――。一つ屋根の下、実子と同居する親たちに、日頃感じている違和感を吐露してもらいました(取材・文 古川美穂)

冷たい息子夫婦への仕返しは「遺言」で

元気で長生きしたものの、息子夫婦との二世帯同居の先に落とし穴が待っていたと言うのは、吉住清江さん(80歳・仮名=以下同)だ。

30代で夫と死別。女手一つで東京郊外にある一軒家で一男一女を育て上げた。娘は大学卒業と同時に家を出て働きだした。

いっぽう、息子は実家から会社に通い、30代後半で一回り若い女性と結婚したのが15年ほど前のこと。息子に言われるがまま、家を二世帯住宅に建て直したが、それが間違いの元だったと吉住さんは後悔しきりだ。

「別に所帯を持ってくれとちゃんと言えばよかったんです。百歩譲って二世帯住宅でも、玄関とお風呂は、それぞれ分けるべきでした。息子が『万一お袋が風呂場で倒れても、すぐに助けられるように』と言うのを真に受けてしまったんです。今では息子一家と顔を合わせるのも苦痛で」

ストレスの源は息子の妻との折り合いの悪さ。さらに必ず妻の肩を持つ息子にも怒りが湧く。

「結婚当初は、息子はいいお嫁さんを見つけたと嬉しくてね。つつましやかで、『お義母さん、お義母さん』と言ってくれた。孫が生まれると、おしめ替えだ、お風呂だと手伝いましたよ」

ところが子育てが一段落すると、見事に手のひらを返され、本性を目の当たりに。