視界は1か所欠けている。盲点が分かる実験
さて、視細胞は網膜全体に広がっているものの、一箇所だけ視細胞が全く存在しない点がある。目の神経である視神経が網膜を貫く、視神経乳頭と呼ばれる部分である。ここは「盲点」とも呼ばれ、その位置は、中心窩から鼻側に約15度離れたところである。
盲点の位置は、自分で確認することができる。左目を閉じて「+」に視点を固定したまま、「●」を視野の端に捉えつつ、ゆっくり画面に近づいてみよう。
ある一点で、「●」が見えなくなるはずだ。「●」が盲点に入った瞬間である。
不思議なことに、私たちは普段、自分の盲点の存在に気づかない。片目で世界を眺めても、視野が一箇所だけ欠けているなどということはないはずだ。脳が周囲の情報から推測して欠けた視野を補完しているからである。
先ほどの実験を思い出してほしい。「●」が見えなくなったとき、そこには何が見えただろうか? 脳は「周囲が白い」という情報から、「白」を補完したはずである。