翌日になってようやく病院に来た姑たちと主治医から改めて説明を受け、夫のいる集中治療室へ向かうことに。たくさんの管に繋がれた夫の姿に涙が止まらない私の横で、3人は無表情で夫を見つめているだけだった。

夫は三兄弟の長男で、30年ほど前に亡くなった舅が始めた不動産業を姑と一緒に継いでいた。事務所は狭い自社ビルの1階にあり、2〜4階をテナントとして貸し、5階に姑、ロフト部分に10年以上引きこもっている三男が住んでいた。

姑が「一度、事務所へ来てくれる?」と言うので、夫のことを家族全員で話し合うのだろうと入院の手続きを終えて電車で向かったが、次男は「これからのことは様子見だな」とだけ言って事務所を出て行き、姑も「後はよろしく」と三男を連れて出て行ってしまった。もしや、私に事務所の雑務をさせるために呼んだだけなのか……。

その後も3人は夫を見舞うことはなく、理解不能な行動に激しいショックを受けるばかりだった。

 

通帳も暗証番号も「知らないわ」の一点張り

夫の入院が長引くにつれ、治療費や私たち家族の生活費なども心配になってきた。これまでは夫が家計を管理し、生活費を渡してくれていたため、私の手元には余分なお金がなかったからだ。

事務所で夫の通帳を見つけるも、事業用と家計用を兼ねていたようで私には暗証番号がわからない。そこで姑に聞いてみたが、「知らないわ」と嘘をつかれ、次男は「お金が必要な時は、いくらくださいとお袋に頼め」と命令する。

預金だけではない。実は夫が倒れる数日前に、姑と夫の共同名義の駐車場を4000万円ほどで売却していた。そのお金についても、姑は自分たちだけのものにしようとしていたのだ。

次男が「駐車場を売った金の受け渡しがあるから来い」と私を呼びつけたことで、それが判明。無謀にも3人でお金を受け取りに行ったところ、相手の業者に怪しまれ、「奥さんとご一緒であればお支払いします」と言われたという。当然だろう。