勝つために「負け」を考えることも必要

北京五輪は、準決勝で韓国に負けて金メダルが消えました。自分にとっても日本球界にとっても苦い過去です。

でも、直前の合宿から五輪本番に入り、当時の記憶を掘り起こして考えました。「負ける時は、どういう原因で負けるんだろう?」と。

そして、「勝たなければいけない」という思いが出過ぎてしまっていると感じたので、いったん、勝つためにはどうしたらいいか、シンプルに考えようと思ったのです。「13年前の韓国戦、どういうふうに、何で負けたのか」と。

あの準決勝で、岩瀬仁紀投手(当時中日)がイ・スンヨプ選手(当時巨人)に勝ち越し2ランを打たれた時、マスクをかぶっていたのが現在の阪神・矢野燿大監督でした。

矢野監督に聞いた話では、インコースを要求してインコースに構えたのだけれど、もっと細かく、高低まで伝えておけば良かった、と。そこまで伝達しきれなかったことに悔いが残るという話を聞いていました。あとは大会を通じて、岩瀬投手を含めた何人かの投手の登板が増えていました。選手の疲労や調子の見極めが重要なのではないかと思いました。

負けたことを考えるのはネガティブな気持ちになる、という意見もあります。しかし、勝つために「負け」を考えることも必要だと思います。