「沈黙の臓器」といわれるからこそ気になる

翻って、現代を生きる私たちはどうでしょう。自分の肝臓のことが、なんとなく心配な人も多いのではないでしょうか。

健康診断で血液検査をすると、成人男子の4~5人に1人の割合で、血清ALT値の異常が指摘されるといわれています。

血清ALT値というのは肝機能検査における代表的な数値です。端的にいって、「異常」とは肝臓の細胞が通常より多く死んでいっていることを意味しています。体感では気づきませんが、肝臓が悲鳴を上げているような状態と考えていいでしょう。

そうした際に気をつけるべきことのひとつは、肝炎ウイルスによる肝臓の病気です。従来、日本は肝炎ウイルスの感染が比較的多い国なのです。

もうひとつは、生活習慣にともなう肝臓の病気です。アルコールの飲みすぎによる肝障害、栄養の摂り過ぎや肥満による脂肪肝が挙げられます。残念ながら、これらの病気も日本で急増しており、先ほど申しあげた、健康診断で引っかかるALT異常の大半はこれらによるものです。

「飲酒を控えてください」「食事に気をつけてください」などと指導されますが、毎日の生活と習慣のことですから、あらためるのは簡単なことではありません。

多少無茶をしても、「沈黙の臓器」ともいわれる肝臓がすぐに症状を出すことはありません。でも、なんとなく不安もある。だからこそ「肝臓が気になる」のではないでしょうか。