実は体内で最大の臓器

肝臓は極めて大きく、お腹の中でも目立つ臓器です。動物の種類にもよりますが、だいたい体重の2、3パーセントを占めています。ヒトの場合は、成人男子で1500グラム、少し小さな女性の方で1200グラムくらいです。

ヒトの脳のサイズが1400グラムくらいですから、生体内で最大の臓器のひとつであることに異存はないでしょう。そのように大きく印象的な臓器なので、人類は古くからその存在を知っていて、いろいろと重用してきました。

肝臓は、哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類、魚類などの脊椎動物にしか存在しません。臓器は中身が詰まった「実質臓器」と管状の「管腔臓器」に分けられるのですが、肝臓は「実質臓器」です。

中国には古くから五臓六腑という概念があり、そこでは「臓」が実質臓器、「腑」が管腔臓器を意味します。ちなみに五臓は心臓、肝臓、脾臓、肺臓、腎臓の五つ、六腑は胆のう、胃、大腸、小腸、三焦、膀胱の六つとされます(三焦が何のことなのかはよくわかっていません)。

中国の三皇五帝の時代に、黄帝という伝説上の王がいました。実は彼は中国医学の祖とされています。

漢代にまとめられた古典『黄帝内経』は、その教えを記したとする医学の理論書ですが、この中にすでに五臓六腑の記載があり、人間の健康と病気をつかさどる臓器として、これらの諸臓器が重視されていたことがわかります。