【相談4】親の悩み
働かない独身息子。自分の死後が心配(76歳・パート)

52歳の息子が職を失い、実家に戻ってきて2年。「再就職のために資格を取りたい」と言われ資金援助していますが、これまで職を転々としてきた息子を正社員で雇ってくれる会社はなく、当の本人もあまり焦っていない様子。

夫は足が悪いので、私が働いて生活の足しにしていますが、いつまで続けられるかわかりません。

私が死んだら息子はどうなるのか心配です。

 

言葉より数字で示す

このケースは、息子さんが正社員で働くことにこだわって、かえって就労の機会を逃しているように見受けられます。働けないお子さんをもつ親御さんに私がいつもお伝えしているのは、子どもに高望みをしないでくださいということ。正社員になって経済的に自立してほしいという気持ちはわかりますが、そこを目指すと親子とも苦しくなります。非正規でも、とにかく仕事を見つけて働き続けてくれればいい、と寛大な心で見守ってあげてほしいのです。

それを踏まえて、心配が尽きないという現状を打破する方法を探っていきましょう。まずは家計の現状を知ることが第一歩。前ページで述べた貯金簿を作って、資産を洗い出してください。次に、おおよそでいいので年間収支を算出し、1年間に貯蓄がいくら減るかを試算。すると、今後の貯蓄残高の推移がわかります。

今のまま息子さんが働かず家にお金を入れなければ、年間80万円のマイナスになり、20年後には貯蓄が底をつく――といった、数字に裏付けされた現実が見えてくるのです。

そして、この現実を包み隠さず息子さんに伝えることが大切。資格取得のお金を無心するなど、息子さんは金銭面でご両親に甘えているように感じます。わが家にはお金の余裕がないことを、具体的な数字で示してください。

その際、厳しい現実を示すだけでなく、今後の生活設計をいくつか提示して話し合いましょう。息子さんが53歳から65歳までアルバイトで月5万円の収入を得れば、貯蓄残高はこう変化する。自分の死後は自宅の土地を売って住み替えてもらい、そのお金を老後資金に充てる、など。どの生活設計を選択するかは、息子さんが決めることです。

逆に資産が多い場合は、それを当てにして就労意欲が低下しないように、「要介護状態になったら有料老人ホームに入るから、このお金は入居費用に充てる」など、お金を渡せない理由を明確に伝えておきましょう。