【相談5】親の悩み
娘に頼りたくない。今からできる対策は(79歳・年金受給者)
遠方の娘に頼るわけにはいかないので、健康維持のため定期的に病院に通ったりサプリメントをいくつか飲んだりしていますが、なにかとお金がかかるのが悩みどころ。
病に倒れたときのために、今からでもシニア向け医療保険に加入するなど、何か対策をしたほうがいいのでしょうか。
緊急時に迷わないように
「子どもに迷惑をかけたくない」と多くの親御さんがおっしゃいます。そう思うならば、今すぐに準備を始めていただきたいですね。まずは、家計を見直しましょう。
相談者のようにサプリメントにお金をかける人は少なくありませんが、多量に服用するとかえって体の負担になる場合も。それよりバランスのいい食事を摂ることにお金を使っていただきたい。また、親世代は子や孫の援助に財布の紐がゆるみ、家計を圧迫する傾向があるのでほどほどにしましょう。
さらにこの先、病に倒れたり突然亡くなったり、という事態を想定してみてください。家族が一番困るのは、「保険証はどこにある?」「どの金融機関にいくら貯金があるの?」など、必要な物や情報が《わからない》こと。つまり、お子さんが対応に迷わないよう情報を記録しておくことが最も重要です。
お金に関する情報は貯金簿にまとめてもいいですし、金融機関の口座番号や暗証番号を記入したノートを作ってもいいでしょう。方法は自由ですが、見た人がわかるようにすることが大事です。
また、いざというときのために、健康保険証やお薬手帳のコピーをご家族の連絡先とともに小さな容器や袋に入れて、冷蔵庫に入れたり玄関のドア裏に貼っておくこともおすすめします。救急車を呼んだ際、隊員がそれを見れば、適切な処置や家族へのスムーズな連絡につながります。
なお、金融機関の口座がたくさんある場合は2つくらいにまとめ、それ以外は解約しましょう。取引する金融機関が多いと、相続のとき子どもの手を煩わせることになります。
相談者はシニア保険への加入を考えていますが、79歳で医療保険に入る必要はありません。国の制度で後期高齢者の医療費の自己負担額は少なくすみますし、高齢者に保険適用外の手術をすることはあまり考えられません。
保険ならば、少額短期保険会社が扱う葬儀保険を検討してみるのはよいと思います。少額で加入でき、亡くなると保険金がそのまま葬儀費用となるほか、葬儀社との契約までできるタイプのものも。遺族は葬儀社選びに悩まなくてすみます。
とはいえ、子どもに迷惑をかけたくないと頑張りすぎず、苦手なことや体力的に難しいことは娘さんに相談しましょう。たとえば、先ほど述べた金融機関の口座を閉じる作業などは、本人と子どもが一緒に回ればスムーズ。親子なのだから、頼れる部分は頼っていいのです。