肝臓は「工場」

私たちは毎日、食事で栄養をとりいれています。糖質、脂質、タンパク質はよく知られた三大栄養素ですが、これらはからだを動かすエネルギーになるとともに、からだをつくる材料になります。

消化管で分解され吸収されたこれらの栄養素が、門脈を介して最初にたどりつく臓器が肝臓です。

肝臓は、これらの栄養素を取り込み、蓄えたり、相互にかたちを変換させたり、あるいはそれらを用いてからだに必要な物質を組み立てたりしています。

さらに、からだの中でつくりだされた老廃物の処理も行っています。簡単にいうと、肝臓は私たちのからだにとって大切な有機物の合成や分解を一手に引き受けているということができます。

このようなことから、肝臓は、生体内の「工場」としての役割を担っていると表現されます。分解の機能も考えると、焼却炉としての役割も果たしていますので、工場とは言い得て妙なたとえです。

私たちの社会で、工場が稼働を止めたり、焼却炉が壊れたりすると、たちまち日常生活に支障が出るように、肝臓がその働きを停止すれば、私たちは生きていくことができません。肝臓が正常の機能を果たせなくなった状態を「肝不全」とよび、肝不全になると最終的に命を失うことになってしまいます。