食べること、おいしいものが大好きなヒロイン・暢子は、小学生で父を亡くし、働く母を支えるために一家の料理担当になる。(写真提供◎NHK)

四兄妹を取り巻く沖縄出身のキャストも見どころ

前作に続いて、今作でもテンポ良く物語が進んでいく。食べること、おいしいものが大好きなヒロイン・暢子は、小学生で父を亡くし、働く母を支えるために一家の料理担当になる。かつて一度だけ食べた西洋料理の魅力が忘れられず、やがて料理人を目指して上京するわけだが、沖縄料理がテーマのひとつでもあるため、とにかく食事のシーンが多い。

ある時は、比嘉家の食卓にご馳走が並んでいた。でも実は、家で飼っていた豚のアババがラフテーになって出されていたり、もう一匹の豚のアベベはどうやらお正月に食べられてしまいそうだったり。命をいただくという大切さがわかると同時に、どこかコミカルに描かれる家族の生活は、リズム感があるのだ。

ヒロイン・暢子の子ども時代を演じる稲垣来泉ら、子役の演技も瑞々しかった。現在11歳の稲垣は、『とと姉ちゃん』(2016年)、『スカーレット』(2019年)とこれまで朝ドラ以外にも数多くのドラマや映画に出演している。最近の作品だと、昨年公開された映画『そして、バトンは渡された』(2019年)で石原さとみの娘役を好演していたのも印象深かった。

四兄妹が成長してからは、いよいよ黒島、さらに長兄・賢秀役の竜星涼、長女・良子役の川口春奈、三女・歌子役の上白石萌歌が登場する。思春期を経て、大人になっていく彼女たちの夢を応援したい。そして沖縄で生まれ育ったヒロインの成長譚ゆえに、沖縄出身のキャストが多く抜擢されているのも、沖縄の風を感じさせる。

現在発表されているキャストは、黒島を筆頭に、語りのジョン・カビラ、主題歌「燦燦(さんさん)」を担当する三浦大知、ドラマの沖縄ことばの指導役兼やがて横浜で暢子を住まわせる下宿先あまゆの店主・金城順次役の志ぃさー(藤木勇人)、新垣のおばあ役のきゃんひとみ、安室のおばあ役のあめくみちこ、バーガーショップの店主役の川田広樹(ガレッジセール)など。

工事現場の親方役にはダチョウ倶楽部の肥後克広。仲間演じる母親が運動会直前に体操服と靴が買えず困っているとわかると、そっと多めに日給を渡す姿に思わず涙…。