沖縄本土復帰50年

青い空、青い海、エイサーを踊る元気な人々の姿……。リゾート地として訪れる人も多い沖縄だが、異なる側面も持つ。1964年当時、沖縄はアメリカの占領下にあり、ドラマでも人々がドルで買い物をしている姿が描かれていた。1972年5月15日に、沖縄の施政権がアメリカから日本に返還され、2022年は沖縄本土復帰50年という節目を迎える。復帰する前と後では、沖縄の人たちの暮らしにどのような変化が起こったのだろうか。

今作では、復帰前に東京から研究旅行のためやってきた民俗学者で東京の大学教授・青柳史彦(戸次重幸)と父・賢三(大森南朋)がこんな話をしていた。

史彦は「戦時中、陸軍の幹部候補生で沖縄の部隊にいたが、米軍が上陸する前に配属替えになって、あの時もしここに残っていたら今の私はいなかった」「今でも申し訳なく思っています、生き残ってしまったこと」とつぶやき、賢三は「私は中国をあっちこっち。自分は生きている限り、謝り続けないといけないと思っています」と語る。

さらに史彦は、「私は子どもに、そのまた子どもに沖縄のことを語り継いでいくのが、生き残った私の使命です」と話すのだ。

戦争の傷跡は確かに残っている。筆者も仕事やプライベートで、沖縄に行く機会がよくあった。沖縄県内を車で案内してくれた知人は、基地から発着する大きな飛行機の音に驚く筆者に「内地の飛行機の音とココとは違うよ」と教えてくれた。沖縄が好きな人間のひとりとして、これまでの歴史を含めて、しっかりとこの地を見守りたいと思っている。

『ちむどんどん』では、本土復帰以来、多くの沖縄の若者たちが仕事や夢を追いかけて本土に渡っていった姿が描かれる。家族と別れ、遠い都会で食べ慣れた郷土の料理を思う様子も…。現在のコロナ禍では、人と人が孤立せざるを得ない場面も多いが、「遠く離れても心がつながる」というメッセージもドラマに込められているそうだ。これからどんな家族の物語を見せてくれるのか、最後まで見届けたい。