ISSから撮影された地球。右上は日本の実験棟「きぼう」

一般人が宇宙に行ける日

酒井 宇宙に関するニュースでは、実業家の前澤友作さんが100億円ともいわれる費用を払って、日本の民間人として初めてISSに滞在したことが話題になりましたね。

向井 イーロン・マスク氏(アメリカの実業家)の「スペースX」など、民間による宇宙旅行を実現するベンチャー企業も誕生しています。私はこれらのビジネスも、一種のダイバーシティとして歓迎しているんです。「お金持ちにしかできない贅沢だ」といった声もあるようですが、多様な企業が参入することで健全な競争が生まれるのは悪いことではありませんから。

酒井 でも、まだまだ一般人が手を出せる価格ではありません。

向井 前澤さんはISSでの滞在もあったから高額になりましたが、「ヴァージン・グループ」の宇宙旅行会社が提供する、高度1000kmの空間で約6分間の無重力状態を楽しむツアーだったら現在でも2000万~3000万円くらいで行けますよ。

酒井 だいぶ現実的金額に……。

向井 それに、民間の参入によって広い意味で宇宙開発が進めば、NASAやJAXAなどの国が税金を使って進める宇宙開発はより公共性の高い事業を追求していくことができますし、私たちが宇宙に行く料金も安くなっていくという相乗効果も期待できるわけです。