怪我は土俵の稽古で治すもの

「土俵の鬼」と言われた第45代横綱・若乃花(初代・若乃花)が引退した昭和37年以降、二子山親方となりNHKの相撲解説をするようになった時のことだ。「白いもの」(現在はサポーターと言っている)が膝や肘などに見えると「悪いところを対戦相手に教えているようなもの」と叱った。
アナウンサーが力士の怪我を報告すると、「怪我は黙っているもの。対戦相手にわかってしまう」とか「怪我は土俵の稽古で治すものだ」と言って突っぱねた。

しかし、昭和50年代からは力士の大型化で膝を痛めたり、その大型力士と対戦する小兵力士にも怪我が増えたりして、アナウンサーの報告は怪我の状態が主になってきた。
そして、相撲ファンも照ノ富士が頑張っていると「俺も膝が悪いけど頑張る」となり、私は首が悪いから首の悪い力士はどうやって治療しているのか報告して欲しいとすら思っているのだ。

私は4月に69歳になり、年齢を聞かれたら「ロックだぜ」とガッツポーズでカラ元気で言うことにしている。ところがこの年齢になると、友人のメールや電話は病気の話ばかりだ。私と同じく健康診断の結果で落ち込んでいる友人もいる。それで考えた。健康診断の結果で悩む相撲ファンのための実況中継ではどうかと。例えばこうなる。

アナウンサー「すごい突っ張り合いでしたね。幕内一番の高血圧の力士と低血圧の力士ですが、意外にも低血圧の力士が勝ちました」
解説者「低血圧で朝稽古が辛いと言っていましたが、よくやりました」
アナウンサー「明日の対戦相手は、幕内で一番悪玉コレステロールが多い力士です。なかなか悪玉コレステロール値が下がらないそうです」
解説者「私もそうなんですよ。いい相撲を期待します」
と、ここまで想像したが、なにか相撲放送がちがった感じになるのでやめた方が良いかと思った。

とにかく、怪我をせず、また怪我を悪くせず、コロナにも感染せず、テレビ画面に近づいてしまうほどの熱戦を見せて欲しい。

 

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