◆ひとり暮らしの人の家へ足を運ぶ「見守りの会」
前出の3人は、孤独を感じているものの、子どもや友人、ペットなど、踏み外す手前で支えてくれる存在がいる。もし彼らがいなかったら、どうなることだろう。さらには、もし健康を損なってしまったら──。
ひとり暮らしが増加している昨今では、高齢者が孤立死し、死後何日も経過してから発見されるケースが少なくない。国や自治体も現状を危惧し、見回りや声かけ、高齢者の交流会など、さまざまな孤立防止活動に取り組んでいる。
ただ、それらがうまく進んでいるとはいえない。プライバシーの問題もあれば、個人の意思もかかわってくる。本人に「放っておいてくれ」と拒絶されたら、それ以上踏み込むことができないのだ。
そんななか、13年前から地域住民を見守り続け、孤立者を救ってきた団体がある。千葉県我孫子市の「湖北台八丁目見守りの会」だ。千葉県は「しない、させない、孤立化!」を合言葉に、高齢者孤立化防止活動「ちばSSKプロジェクト」に取り組んでいる。この会は県に有意義な活動を評価され、今年表彰を受けた。会長の白川昌子さん(85歳)は語る。
「住民のプライバシーにかかわりますから、口の堅い方を選び、37名のボランティアを集めました。買い物やごみ出しなどの際、通り道のひとり暮らしの方の家をそれとなくチェックする。新聞が溜まっていないか、何日も雨戸が閉まったままではないかなど。おかしいな……と思ったら、インターフォンを押す。追い返されることもしばしばですが、心配な兆候があれば、めげずに何度でも足を運ぶようにしているんですよ」