口を動かして「さらさら唾液」に

さらに、マスクの息苦しさから多くの人が口呼吸になっていることも、口腔環境を悪化させる原因と指摘します。

「口呼吸が多くなると口の中が乾燥し、歯周病菌が増えてしまうのです。さらさらの唾液で口の中が常にうるおっている状態が理想的といえます」

一口に唾液といっても、耳の前下部にある耳下腺から分泌される「さらさら唾液」と、口腔底にある舌下腺から分泌される「ねばねば唾液」があり、歯周病菌に威力を発揮するのは殺菌作用が高いさらさら唾液、と野村先生。

「さらさら唾液は口を動かすことで分泌が活性化しますが、マスク生活で人と話す機会が減っている今、口の中は、歯周病菌が好むムチンという成分を含むねばねば唾液の割合が高くなりがちです」

加えて、50代以降の女性は、歯周病が悪化しやすくなるのだそう。

「閉経後は女性ホルモンの減少により、さらさら唾液の分泌量が減るうえ、歯槽骨が骨粗しょう症になるリスクも高まります。歯周病と骨粗しょう症の両面から、口内の健康が損なわれやすいのです」