毎日の洗濯を楽しくハッピーにするための活動をするプロ集団の「洗濯ブラザーズ」 茂木 貴史さん(左)と茂木 康之さん
《日本一の洗濯屋》として、様々なメディアで注目をされている洗濯ブラザーズ。実の兄弟である茂木貴史さんと茂木康之さん、そこに友人の今井良さんが加わった3人のユニットで、クリーニング店「LIVRER YOKOHAMA(リブレ ヨコハマ)」「LIVRER MISHUKU(リブレミシュク)」を経営。そのかたわら、劇団四季、シルク・ドゥ・ソレイユ、クレージーケンバンドなど、国内外の著名なアーティストの衣装クリーニングを行っている。「キレイに洗えて、服が長持ちする」独自の洗い方を紹介した著書『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム)は8万部を超えるベストセラーに。「地味な作業」という印象も受ける「クリーニング」という仕事に、並々ならぬ情熱を注いでいる理由は何なのか? 「洗濯の楽しさを伝えたい」という熱い思いを、次男の康之さんにうかがった。(構成=内山靖子、撮影=本社写真部・中島正晶)

大好きな服をもっときれいに洗うため
自分の手で理想の店を

洗濯ブラザーズの現在の活動は、2007年に僕が「リブレ ヨコハマ」を立ち上げたことがきっかけです。

そもそもの話をさかのぼると、かつてうちの父が全国のクリーニング店に向けてコンサルティング業をやっており、工場で使う機器の製造や販売、その後のメンテナンスサービスなども引き受けていたんです。一時期、僕もその会社で働いていたのですが、各地を回って気がついたのは、専用の溶剤をきちんと管理して、適切な状態でドライクリーニングを行っている工場は全体の約2割。つまり、残りの8割は汚れた溶剤で服を洗っているような状態でした。

これではいけない。お客様から預かった大切な服をもっときれいに洗いたい。僕自身も10代の頃から服が大好きだったので、服に対する思い入れは人一倍。お気に入りの1着を大切にして、長く愛用していきたい。そのために、生地を傷めず、風合いを損ねず、可能な限り新品に近い状態に近づけられる、自分が理想とするクリーニング店を立ち上げようと思ったんです。

最初は、車を1台買って、知り合いのクリーニング工場の一角を間借りして、宅配クリーニングの形でスタートしました。ようやく自分の店舗を持てるようになったのが、それから2年後。とはいえ、その当時は、横浜の町の片隅にある、個人経営の小さなクリーニング店にすぎませんでした。

お客様から預かった大切な服をもっときれいに洗いたい。その思いが理想のクリーニング店を立ち上げるきっかけに