父も含め家族みんなが手伝ってくれる

杉浦 工藤くんの場合、家庭菜園レベルじゃないからね。でも畑の場所が山梨だと、ご家族と一緒に、というわけにもいかないのかな。

工藤 それが、家族みんなが手伝ってくれていて。子どもの頃は、野球のことを考えている父(元プロ野球選手・監督の工藤公康さん)をみんなで気遣っていましたから、父に接する時間がほとんどなかったんです。だからいま、父とゆっくり話したり、一緒に農作業したりするのがとても不思議というか……こういう時間もいいものだなあと思っています。

杉浦 自分で野菜を育ててみると、手間がかかることを実感するよね。自然相手だから天候に左右されるし、うまく育たない苗もある。無農薬にこだわれば虫も来るし、夏場に作業をさぼれば、あっという間に雑草だらけになるし。

工藤 わかります。僕も去年はスイートコーンにアワノメイガの幼虫がつきました。雄花につきやすいから、なるべく早めに受粉させて雄花を切るといった対策はしても、無農薬栽培だと限界があって。今年は3000株育てる予定ですが、出荷できるのは5~6割と踏んでいます。

杉浦 コガネムシの幼虫のネキリムシもやっかいだよね。小さな苗のうちに根を食べられたら、枯れちゃう。

工藤 土の表面に敷いたマルチング材に指を入れて、見つけたらプチッ、ポイ(指で潰して捨てる動作)って。(笑)

杉浦 わっ、「プチッ」できるんだ! 僕はいまだに苦手なんだよ、すごいなあ。じゃあ、土はどうしてるの?

工藤 僕の区画は、元はリンゴ畑だったところなんです。そこを開墾して、豚糞と、米ぬかを主原料とした肥料を入れています。昨年は米ぬかの液肥も試したんですけど、液肥は微弱で……。

杉浦 水溶性だから雨で流れちゃうものね。僕の場合、工藤くんと違って趣味の畑だから、いろいろなことを試せる。たとえば、「薹立(とうだ)ち(花茎が伸びること)させない」は、野菜作りの鉄則みたいに言われるじゃない。

工藤 葉を食べる野菜は、薹立ちすると食味が悪くなるし、硬くなりますね。

杉浦 でも種を採る目的でからし菜をあえて薹立ちさせて、その種でマスタードを作ったんだよね。あれは楽しかったなあ。白菜も、1株だけは「おいしいだろうけど、収穫我慢」。で、薹立ちさせる。そうすると春先に花が咲いて。白菜の菜花って、実はめちゃくちゃおいしいんですよ。こういう遊びができるのは、家庭菜園ならではの贅沢かもしれないね。

白菜も、1株だけは薹立ちさせる。こういう遊びができるのは、家庭菜園ならではかもしれないね(杉浦さん)