自分で収穫した野菜を家族と食べられる幸せ

工藤 「食育」とおっしゃっていたように、学校ではなかなか学べないことですよね。

杉浦 長女が初めて間引きを経験したときは、「抜くのぉ?」とちょっと悲しそうで。だから「この子もベビーリーフとして食べるから、ちゃんと命を全うできるんだよ」と説明しました。それに芽や苗のときから育てているので、よその畑に行っても葉を見ただけで「ニンジンだ」とわかる。上の3人は、自分でトマトやナスの脇芽かきができるしね。

工藤 頼もしいです。なにより自分で収穫した野菜を、家族と食べられるのは幸せだと思います。

杉浦 鮮度がいいから、料理は手をかけすぎず、シンプルなほうが実はおいしいんだよね。

工藤 栄養管理がマストの父の影響もあって、うちの家族は「焼くと熱で壊れるビタミンもあるし、煮ると流れるよね」とか、当たり前のように栄養の話をしてきたんです。だから野菜はなるべく皮付きで。生で食べるか蒸し野菜にすることが多かったですね。

杉浦 味付けは?

工藤 ポン酢、塩とオリーブオイル……、ゴマだれもおいしいです。

杉浦 蒸し野菜は甘みが凝縮されるから、シンプルだけどうまいね。

工藤 杉浦さんがこれまで育ててきたなかで、印象に残っている野菜はありますか?

杉浦 ロケで鹿児島に行ったとき、桜島大根の種を買ってきたことがあって。東京の土では育てられないかも、とさほど期待していなかったんだけど、あのでっかい桜島大根がちゃんとできたのでビックリ!

工藤 桜島大根というと、火山灰が多い土壌じゃないとうまく育たないイメージがありますね。

杉浦 でしょう? それだけに、ものすごく感動した。1つは収穫して食べて、あと1つはまた薹立ちさせて(笑)、自家採種。翌年、種を蒔いたら、桜島大根特有の丸形になるものと、細い形のものと2種類できた。

工藤 環境や育て方によってバラつきが出るのかもしれませんね。

杉浦 そういうことを暮らしのなかで実感できるのがいい。そういえば、夏に落果したトマトの種が土に残っていたのか、秋に芽を出したことがあって。試しにビニールで囲って保温してみたら地這いトマトが育って、冬に収穫できたんだよね。子どもたちとそんな感動を味わえるのが家庭菜園の醍醐味です。そうだ、キノコ栽培も楽しいよ。

夏野菜は定期的な収穫が欠かせない。杉浦さん一家でナスをチョキン!辻希美さん(左)と幸空くん