「たとえスペースをとったとしても、そばに置いておきたいものもあります。それは家族ゆかりの品々です」

断捨離はしたいけれど、完全にモノを捨ててしまうのはどうも抵抗があって……。縁あって私のもとに来た品々には、どこかで誰かの役に立ってもらいたい。ですから必死になって引き取り手を探しました。着物はいろいろなチャリティ企画に出させていただき、着物回りの小物は着物好きの知人に。段ボール3箱分もありましたね。

2年着ていない洋服はもう着ることはないと線引きをして、役立ててくださる人に「着てくれる?」と声をかけました。アクセサリーも、愛用してくれるだろう方を思い浮かべて、慎重に嫁入り先を決めていったのです。

おかげさまでクローゼットはずいぶん片付きました。和箪笥の一番上の引き出しは思い出の着物の定位置に。「カンヌ国際映画祭に出た時の思い出の着物が見たい」と思ったら、すぐに出せるようになったのですよ。

娘が生まれた時に当時の松竹の社長さんからいただいた、七段飾りのお雛様も旅立ちました。毎年自宅に飾っていたのですが、出し入れするのが大変になってきて。かといってサヨナラするのは悲しい。

隣人に相談したら、区内の保育園に寄贈してみては? と言われ、お譲りしたのです。けれど翌年の桃の節句には寂しくなってしまって、園に飾られているお雛様に会いにいきました。うちにいた時よりお顔がキリッとして見えて。お雛様も緊張していたのかしら。(笑)