「こんな懐かしいのが出てきたよ」

私の部屋の隣に手洗い場を作る関係で、納戸を一つ取り払うことに。終活も兼ねてたまりにたまったモノを整理しようと考えたのですが、これが大仕事でした。何を残して何を手放すか、選別するのが難しくて。

私たち夫婦は1967年に結婚し、すぐに篠田が「表現社」というプロダクションを立ち上げ、以後、二人三脚でやってきました。『心中天網島(しんじゅうてんのあみじま)』や『はなれ瞽女(ごぜ)おりん』など、制作してきた作品の資料はすべて残していて、私たちにとってはどれも思い出深いものばかり。

篠田に「こんな懐かしいのが出てきたよ」と声をかけられると、つい話が弾んでしまいます。保存する資料を整理しながら、忘れていたことが昨日のことのように蘇ってきて心がパーッと華やいだり、「よくやってきたものだ」とねぎらい合ったり。とてもいい時間でした。

テレビ番組を録画したビデオも驚くほどの量。大事な映像だけは、DVDにダビングしてコンパクトに。山積みになっていた映画のスチール写真や台本、ポスター、パンフレットは、一部を事務所に保管して、あとは松竹大谷図書館に寄贈させていただきました。

次なる問題は、100枚ぐらいある着物をどうするか。しかも着物にあわせて作った帯や草履、バッグなども保管していましたので、何から手をつけたらいいのか途方に暮れてしまったほどです。