2022年5月、トークショーの合同撮影会にて(撮影:本誌編集部)
〈6月15日発売の『婦人公論』7月号から記事を先出し!〉
19歳での銀幕デビューから70年。8月に90歳を迎える岸惠子さんが、久しぶりに公の場に登場し、近況を語った。
(構成・撮影=本誌編集部)

83歳のときに車の免許を返納

以前、主治医に「100歳まで生きますよ」と言われたという岸さん。健康の秘訣は「なんにもしないこと」とキッパリ。

「寝たいときに寝るの。お昼まで寝ていることもあるし、夜は3時ごろまで起きていて、原稿を書いたりも」

年齢なりの体の変化についても、「人間の能力は衰えるもの。89歳ともなると、脳が本当に衰えたと実感しています。知っていたはずの字が思い出せないし、書こうとすると手が震えるし」と、率直に話した。原稿執筆は、手書きからパソコンに換えたという。

車の運転が大好きだったものの、83歳のときに免許を返納した。長女に車庫入れのテストをされ、見事にキメたつもりが、「いつもと違って、2回切り返しをした」と厳しい指摘が。「街中で人を傷つけないために」と諭され、返納を決意した。

「終活は一切していません」と断言。死については、大好きだった母方の祖父を幼いころに亡くしてから、常に意識している。

「90歳になっても、5、6歳のときに思った『死』は厳然としてある。けれど、それでどうってことはないんです。今を生きるだけ。昨日があるから今があって、明日がある。だから、今を一所懸命生きたいと思っています」