ブロードウェイミュージカル
シカゴ

8月7~18日/東京・東急シアターオーブ
音楽/ジョン・カンダー 脚本・作詞/フレッド・エッブ
脚本・初演版演出&振付/ボブ・フォッシー
演出/ウォルター・ボビー 振付/アン・ラインキング
出演/米倉涼子、アムラ=フェイ・ライト、ほかアメリカ・カンパニーキャスト
☎0570・08・9941(シカゴ事務局) ※東京の前に大阪公演あり

ふたりの悪女が“悲劇のヒロインに” 。
セクシーで力強いダンスは圧巻

1975年の初演の後、96年のリバイバル上演から23年。今もブロードウェイでロングランが続いているミュージカル『シカゴ』の来日公演が決定した。メインキャストのロキシーを演じるのは、これが3度目のブロードウェイ版への出演となる米倉涼子。もうひとりのメインキャスト、ヴェルマ役で史上最多出演を誇るアムラ=フェイ・ライトとともに、圧巻のステージを見せる。

ストーリーは比較的シンプルだ。20年代、禁酒法時代のアメリカ・シカゴ。ナイトクラブで働く人妻ロキシー(米倉)は、浮気相手を弾みで撃ち殺してしまう。“私は悪くない”と憮然とするロキシーだったが、殺人犯監房でショービズ界のスター、ヴェルマ(フェイ・ライト)と出会う。悪徳弁護士ビリーの手腕で、まんまと世間の同情を集めていたヴェルマを手本に、自らも“悲劇のヒロイン”となることに成功したロキシー。ふたりの女の欲望は、その後も膨らみ続け……。

米倉は2回の日本版と、徹底的にダンスと英語を磨いてブロードウェイデビューを果たした2012年、さらに17年のブロードウェイ版にも出演。今回も日本公演の前に、ブロードウェイの『シカゴ』常打ち劇場に立つ。近年、現地では人種と時代考証を超えたキャスティングが広がっており、アメリカ国籍の白人であるロキシー役に関しても、さまざまな人種によって演じられている。米倉のキャスティングは、そんな間口の広がりが後押しとなったことは確かだが、とはいえシビアに客席の反応が返ってくるブロードウェイの舞台。そこへ3度も出演を果たすというだけでも、米倉の実力を裏付けるには充分だろう。

伝説の振付家ボブ・フォッシーのセクシーで力強いダンスはもちろん、今で言う“炎上商法”と、それに対する“品格”の提示(それを歌うのが囚人たちから小金を巻き上げる女看守長というのが痛快)など、色あせない魅力がたっぷりの本作。一生に一度は観ておきたい名作である。

 

 

 

ブラッケン・ムーア~荒地の亡霊~

8月14~27日/東京・シアタークリエ
作/アレクシ・ケイ・キャンベル 翻訳/広田敦郎 演出/上村聡史
出演/岡田将生、木村多江、峯村リエ、相島一之、立川三貴、前田亜季、益岡徹ほか
☎03・3201・7777(東宝テレザーブ) 
※長野、愛知、静岡、大阪公演あり

ギリシャ人の父と英国人の母をもつ劇作家アレクシ・ケイ・キャンベルの作品を貫くテーマは、“自分らしく生きること”。デビュー作『プライド』でローレンス・オリヴィエ賞を受賞したキャンベルの4つめの作品が、本作だ。裕福な炭鉱主のプリチャード夫妻と、かつて家族ぐるみの付き合いがあったエイブリー一家をめぐる物語。10年前に死んだプリチャード家の息子エドガーの霊が、エイブリー家の息子テレンスに憑依、死の真相を伝えようとする――という展開は、もちろんシェイクスピアの暗喩だろう。驚きの結末は、ぜひ劇場で。

 

 

 

新派公演
山村美紗サスペンス
京都 都大路謎の花くらべ

8月3~17日/東京・新橋演舞場
原作/山村美紗『京都西大路通り殺人事件』 脚色・演出/齋藤雅文
出演/波乃久里子、喜多村緑郎、河合雪之丞、長谷川純、山村紅葉、中村梅雀ほか
☎0570・000・489(チケットホン松竹)

京都・祇園のクラブ「牡丹」のホステス、桃子が自殺した。女流人形師の歌乃や日本画家の沢木がモデルとして取り合うほどだった桃子を“偲ぶ会”に、「牡丹」のママ・美保子や芸妓の小春、会社社長の山田ら多彩な人物が集まる。そんななか、京都府警の狩矢警部は他殺の可能性を探りはじめ……。2006年に“山村美紗没後十年追悼”として南座で上演された人気作を、今回は新派版として送る。独特の味わいを見せる中村梅雀、山村原作のサスペンスドラマでおなじみの山村紅葉、「渡る世間は鬼ばかり」シリーズの長谷川純など、豪華客演陣も見どころ。