カメラやスマホのカメラの機能も進化し、「上手な」写真は誰もが撮れるようになりました。では、そのなかでプロはどのように「人の心を掴む」写真を撮っているのでしょう?
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。撮影における心得を記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第7回は「広い風景は心を落ち着かせて撮る」です
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。撮影における心得を記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第7回は「広い風景は心を落ち着かせて撮る」です
広い風景を撮るには心が落ちつくまで待つこと
〔 撮り方 〕
砂漠や砂丘を撮るときの基本は広角レンズでパンフォーカスだと考えている。
同時に砂漠の場合は平板になりやすい景色なので、斜光の時間帯を選び、砂丘の陰で陰影をつけて画面に立体感を出すのがポイント。
この作品は、どこまでも広がる奥行感を出すために、広い風景をあえて縦位置で撮っている。
単に広がりだけなら横位置で良いが、手前の砂丘が世界の果てまで続くような遠近感を出すためには縦位置が最適だと考えた。
そのため、絞りは F11まで絞っている。
砂丘の大きな風紋を画面中央に配置して、画面に変化を生み出した。
さらに、平板になるのを防ぐために、手前の風紋と奥の砂丘が上下に並ぶようにして画面中央から右と左を異なる表現にしている。
また、このような砂丘や雪原を歩くときは、足跡をつけないよう細心の注意も必要だ。