カメラやスマホのカメラの機能も進化し、「上手な」写真は誰もが撮れるようになりました。では、そのなかでプロはどのように「人の心を掴む」写真を撮っているのでしょう?
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。撮影における心得を記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第10回は「千載一遇のチャンスを逃さず撮る」です
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。撮影における心得を記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第10回は「千載一遇のチャンスを逃さず撮る」です
雲っていても最後のどんでん返しが待っている
〔 撮り方 〕
真夏の北海道。午前3時過ぎの夜明けに強烈な太陽が空を真っ赤に染める。
この撮影の5分前までは、この色になるとは思えないような空だった。
30枚撮りのフィルムはあっという間に終わる。予備のフィルムバック4つを使い尽くしての撮影だった。
太陽が爆発したような夜明けの迫力を出すために、水平線をプリント時でも切れない画面のぎりぎりまで下げた。
ちょうど知床半島突端から太陽が昇ってくれたので、その知床半島を画面右に寄せ、左に広がりを持たせる間を作った。露出はオーバーにならないように注意している。
このような千載一遇のチャンスのときは、フィルムでもデジタルでも100枚くらいは余裕で撮れる準備が必要だ。