人間力が求められる時代

ここまでして向き合うのは、親子だからこそです。子どもは自分の映し鏡のような存在。つくづく親子は学びの宝庫だと感じます。

ただ忘れてはいけないのは、スピリチュアルな視点から言えば、親子は血のつながりはあっても、たましいは別です。平たく言えば、親と子は他者ということ。親がいくら子どものためによかれと思ってお膳立てしても、本人が望まなければそれまで。親の希望どおりにいかなくて当然なのです。

重要なのは、子どもには子どもの人生があり、子どもの思う幸せがあると理解すること。親世代が抱きがちな高学歴・高収入を目指す考えは高度成長期やバブル時代の幻想で、今は昔。働き方も多様化していますし、どんな職業に就くか、収入がいくらかは問題ではありません。未来を生き抜くための、人間力のほうが求められる時代です。

人生という長いスパンで考えれば、会社勤めより、畑を耕しながら暮らすほうが幸せだと感じる人もいる。大切なのは、何をしたら人生のクオリティが上がるかを見極めることです。

生きていくのに必要な衣食住、医療さえ押さえておけば、人生にどんなクオリティを求めるかは人それぞれ。子どもには子どもの思う幸せの価値観があり、子どもが歩む人生は、親のものではない。自立さえしていればいい、親の価値観を押しつけないようにすると理解して、本当の意味で子どもの歩む人生をあたたかく見守れるでしょう。

前回「正しいアピールの方法は?「頑張っている」と強調されたら鬱陶しい。コミュニケーションをマメにして「良い空気」を作りましょう」はこちら


きれいに逝かせてください』 2022年8月5日発売 

コロナ禍において改めて注目されるようになった「看取り」。
感染拡大下の病院では、家族が面会に行くことが難しくなり、看取りのプロセスに直接立ち会うことができないという事態が起きました。
そして今、改めて看取りをめぐること、すなわち、どう看取りたいのか? どう看取られたいのか? という問いが、家庭及び医療現場で浮かびあがっています。

本書は、在宅医療の現場で「終末医療」のあり方を模索し続ける医師新城拓也氏と、作家で精神世界に詳しい田口ランディ氏が、それぞれの立場から浮かび上がった疑問をスピリチュアリストの江原啓之氏に問いかけ、令和時代における「より良い看取り方」、そして誰もが避けては通れない「より良い看取られ方」すなわち「きれいな逝き方」について考える鼎談集です。