まさか自分がテレビのなかで仕事をするとは
三つ目の「夢中になれることを見つけてください」というのも、僕の経験から感じていることです。この後の章で詳しく話しているのですが、僕の場合は中学二年生の頃からバスケットボールに夢中になることができました。
一つ目の「逃げてもいい」ということともつながるのですが、夢中になれることは最高の”逃げ場”になります。なにも部活でなくたって、漫画でもユーチューブでもなんでも構いません。生き延びるためなら、自分の部屋に閉じこもっても構わない。僕はそう思っています。
小学生の頃の僕は大のテレビっ子でした。それこそクラスメートで遊んでくれる人なんていなかったので、家に帰ってからテレビを見る時間が唯一の癒しの時間でした。
母親や祖母がいるときにテレビばかり見ていると叱られるのですが、テレビを見ている時間は本当に嫌なことを忘れられるというか、まさに現実を離れてテレビの世界にトリップしているような感覚でした。
特に好きだったのは「ボキャブラ天国」です。
海砂利水魚時代のくりぃむしちゅーさんとか、ネプチューンさんとか、爆笑問題さんとかが若手の頃で、小学生だからネタの意味がわからない部分もあったんですけど、大人たちがバカなことを楽しそうにやっている光景が、なんだかキラキラして見えたんです。
テレビのボリュームを上げすぎると母親と祖母に怒られるので、小さい音量にして、テレビの前で体育座わりをして小さくなって見ていました。
当時の僕にとっては、テレビの向こう側はあまりにも眩しい世界だったので、まさか大人になって自分がテレビのなかで仕事をするとは思ってもみませんでした。
だからこそ改めて思うのは、あの時に団地の屋上から飛び降りなくて本当によかったということです。
※本稿は、『いま君のいる場所だけが、世界のすべてじゃない』(潮出版社)の一部を再編集したものです。
『いま君のいる場所だけが、世界のすべてじゃない』(著:副島淳/潮出版社)
バラエティー番組やドラマ、映画などで独特の存在感を発揮し、活躍している副島淳さん。そんな副島さんからは想像もできない、「いじめ」「差別」「家庭環境」など、これまでの山あり谷ありの人生を全編『本音全開』で語り尽くします。巻末には副島さんが「芸能界の姉」と慕う、タレント・LiLiCoさんとのスペシャルトークも収録。自分のことが好きになれない、自分に自信が持てない、自分らしさって何だろう──。そんな悩みを抱えるあなたの心に優しく寄り添ってくれる一冊です!