読めても聴き取れない
30代ではじめて外資系企業のDECに入ったときのことです。前の会社の同僚たちから退職祝いにポケットサイズのテープレコーダをプレゼントされました。「これから英語が必要になるから」と。
当時は決して安いものではありませんでしたが、「まったく英語を喋れない村上が、無謀にもアメリカの会社に転職する。これは見ちゃいられない」と心配し、みんなで奮発してくれたのだと理解しました。
その気持ち(プレッシャー?)をありがたく受け止めた私は、テープレコーダを使った英語の学習をはじめることにしました。押し入れのなかで長いこと埃を被っていた英語の教材を引っ張り出してきたのです。そして通勤電車でその教材を聴く「耳学習」をはじめました。
ところが、です。これが、まったく“聴き取れない”のです。
私自身、リスニングを訓練してこなかったことはわきまえています。だから、「耳学習」の最初に選んだのは「レッスン1」。教材は中学生レベルのものでした。
単語も難しくないし、文法や構文も、英文を読めばすんなり理解できます。ところが、いざテープを聴くと、何を言っているのか全然、聴き取れません。私は、それなりに頭のいい(⁉)人間ですので、簡単な英文は読めるし、覚えています。それにもかかわらず、音だとその英文が聴こえてこないのです。