樹木希林さんが「これから9月1日を迎える親子」に向けておくったメッセージとは(写真提供:全国不登校新聞社)
2018年9月15日に75歳で亡くなった女優の樹木希林さん。樹木さんは生前、子どもたちが自ら命を絶つこと、特に新学期を迎える9月1日に自殺が増加することに心を痛め、NPO法人の取材に応じたり、関連するイベントに登壇するなどして命の尊さを訴えていました。2015年8月22日、登校拒否・不登校を考える全国ネットワークが主催する講演会に樹木さんが登壇した際、「これから9月1日を迎える親子」に向けておくったメッセージを紹介します。

「学校へ行きたくない」という気持ちはわかる

――2015年の7月、内閣府から初めて「9月1日に子どもの自殺が多い」というデータが出ました。9月1日、つまり2学期初日を迎えようとしている、すごく苦しい、つらい、学校に行きたくないという子に対して、何かメッセージをお願いできますか。

樹木:たしかに、学校も新学期が始まりますわね。

そのときに、苦しくって行かない子、あるいはその行かない子がいる家族の、その気持ちはわかるんです。みんなが「おはよう! 今日から学校だね」というそのときに、自分は行きたくないってなったときの。

ただ私は、行きたくなくて行かないでも、親が「いいよ」と言うんだったら、それでいいんじゃないかと思うの。

よく会社員が会社をクビになっちゃって、でも妻の手前、弁当を持って出ていくんだけど、行くところがないからずーっと公園でぼーっとして、夕方になると帰ってくるっていう話がある。

あれはつらいだろうなあ、と私は思ったんだけど、それは誰かに対しての思いだから。

私は、自分のうちにそういう子がいたときに、私の父親じゃないけど、「行かないでいいよ。こっちおいで、こっちおいで」って言うぐらいでいいんじゃないかなあ、と思う。

それも、なんにもしないんじゃなくて、自分も何かしながら、掃除でもなんでもいいから、これやって、あれやってって言うの。

やっぱり人間っていうのは、どんなつまんないことでも役目っていうのかな、「お役目ごくろうさん」って言ってもらえると、特に子どもはやる気になっていくんじゃないかと思うから。