天才スケボー少女、牧村ひかり役を演じた佐竹晃ちゃん(右)は実際の9歳のスケートボーダー

リアルさを追求する工夫

例えばサッカーのシーンでは、元日本代表・大久保嘉人さんが監修担当。綾野さんに対してサッカー指導をした上、複数の元Jリーガーたちも協力して日本代表選の試合の様子をリアルに演じました。

あるいは第二話では、現役の9歳のスケートボーダー佐竹晃さんが牧村ひかり役で登場。

彼女のスケボ技術も凄かったけれど、演技も光っていた。芝居は初めてという佐竹さん、猛特訓して撮影に臨んだだけに、素晴らしい効果を出しました。

特に、佐竹さんのセリフ「スケボーって出し惜しみを、しないの。自分ができたトリックをみんなで教え合うの」「世界中に友達がいるの」といった、勝敗を超えていくスケボー選手たちの友情の形に、つい涙がこぼれました。

勝負ばかりにこだわるアスリートの世界で、一人の選手の独白がとてもピュアに心に響きました。

常日頃、ドラマ評を執筆するためにウォッチしている者としては、素晴らしい作品には何度も遭遇してきたけれど、不意を突かれて泣きそうになったのは久しぶりです。

また第三話では、マラソン選手役のSixTONESの田中樹さんのランニング姿も説得力があった。実は撮影前、青山学院大学陸上競技部のバックアップを得てマラソンの練習を重ねたのだとか。

そう、このドラマは絵空事感が少なく、「スポーツに対するリスペクト」がヒシヒシと伝わってくる。それがすがすがしさの源泉となっているのです。