満寿夫さんと一緒に愛犬を可愛がっていた佐藤さん「犬に関しては、少し怒っているんです。みんなが元気なうちに楽しんで可愛がって一人だけ逝っちゃって。一番おいしい部分だけ一緒にて、って」(撮影:安井敏雄)
2022年7月19日、ヴァイオリニストで、芸術家の故池田満寿夫さんのパートナーとしても知られる、佐藤陽子さんが亡くなられました。享年72。チャイコフスキー国際コンクール第3位受賞など国際的な活躍に加え、エッセイの執筆など幅広い活動を行っていた佐藤さん。今回は、池田さんの七回忌に際した『婦人公論』2003年1月22日号掲載のインタビューより、一部抜粋・編集を加えて配信いたします。

佐藤陽子さんと故池田満寿夫さんの関係

1949年に福島県で生まれた佐藤さんが、ヴァイオリンを始めたのは3歳から。9歳になる頃にはその実力は確かなものとなり、1958年に来日していたヴァイオリニスト・レオニード・コーガンに才能を認められ、翌年には旧ソ連に留学。その後、1966年にはチャイコフスキー国際コンクール第3位、ロン=ティボー国際コンクール第3位、パガニーニ国際コンクール第2位受賞と、世界的に活躍しました。

さらに、ソプラノ歌手のマリア・カラスを師として声楽を学び、『蝶々夫人』に出演、エッセイの執筆など、活動の幅を広げていきます。

1980年に、芸術家の池田満寿夫さんと結婚を宣言し、82年には、公私ともにパートナーとして、熱海市で暮らしました。

その後、1997年に池田さんは逝去されました。亡くなった当日もすごく元気で、63歳になって2週間目、突然のことだったそうです。七回忌を迎える2003年に行われた『婦人公論』のインタビューで、亡くなられた当時のことをこう振り返っています。

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あのときは、亡くなったんだという心境ではなかった。いないのが不思議という状況でした。(中略)寂しさは百箇日を過ぎたころから、恐怖に近いくらいありましたね。自分が生きていることの方が、不思議なくらい。

(中略)ただ、私には音楽があるので、ずいぶん助かりました。演奏会という発散の場があります。演奏するというのは、すごく大きな意味がある。人に訴えかけていくことですから。

満寿夫が亡くなってすぐの頃も、演奏する気持ちが萎えることはありませんでした。物理的に何日間か、楽器に触れない状態にはなりましたけど、心情的なことではなかった。

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